【映画レビュー】アオラレ / Unhinged
昨今、日本でも問題になっている“あおり運転”。
このあおり運転をテーマにしたのが映画が、ラッセル・クロウ主演の映画『アオラレ』です。
いやもう、このラッセル・クロウが本当に怖い!
何を考えているかわからないジト目で延々と追ってくる、熊のようなむくつけき大男。
そのうえ、なぜか携帯の扱いなんかにも長けていたりして、GPSでこちらの居場所を探知して、逃げても逃げても追ってくるのですから。
スピルバーグ監督の『激突!』にも似ているけれどまったく違う、現代らしい恐ろしさを感じさせる、ある意味ホラーな恐怖映画でした。
<STORY>
離婚調停中の美容師・レイチェルは息子・カイルを小学校に送ろうとしていた。渋滞で自分の仕事にも息子の学校にも遅刻しそうになりイライラしたレイチェルは、青信号になっても止まったままのピックアップトラックにクラクションを鳴らして追い越す。するとそのトラックの男が追いかけてきて、窓を開けて「礼儀正しくしろ」と話しかけてきた……。レイチェルは男から逃げるが、カイルを学校に送り届けた後も男の車がついてきていた。
<解説>
この映画の主人公は、夫と離婚調停中のシングルマザー、レイチェル。
美容師という仕事をしていますが、離婚のこともあり生活が乱れ気味で仕事に遅刻したりして、信用を失ったりもしています。
小学生の息子・カイルの送り迎えも毎日しなければならず、同居している弟のフレッドと彼女のメアリーにも悩まされ、忙しい日々……。
そんなレイチェルのイラつきがMAXに達した時、現れたのがその男でした。
その男は、交差点で青信号になったにも関わらず、車を発信させずにぼーっとしていたのです。
レイチェルは激しくクラクションを鳴らし、その男の車を乱暴に追い越しました。
それが、彼女の不運の始まりだったのです。。。
実はこの男、職場をクビになったり、色々やっちゃったりして、そのことから車の中で放心していたよう。
そんな男の心が弱っているときに、ちょうど現れたのが、レイチェルだったわけですね。
男は「自分の不運をあの女にも味わわせてやる!」という恐ろしい執念で、レイチェルを追ってきます。
レイチェルにしても、そんな男に目をつけられてしまうなんて、まさに不運としか言いようがないわけですが、イライラして男にクラクションを浴びせなければ、こんな目にも合わなかったわけで。
こうやって、ひとりのイライラが他者にも伝播し、不幸と不運が積み重なっていくのですね。
レイチェルを演じるカレン・ピストリアスは、細い体で大男に立ち向かうシングルマザーを力強く演じています。彼女の細さがラッセル・クロウの大きさを際立たせ、緊張感も倍増。バランスの良いキャスティングだと思います。
それにしても、『激突!』には救ってくれる人が誰もいない山の中で、正体不明の人物に襲われるという怖さがありましたが、『アオラレ』には衆人環視の街の中なのに助けてくれる人がいないという、現代ならではの恐怖がありました。
ダイナーの客席で殺人が行われても、遠くで見守りながら写真を撮っているオーディエンス……。
ある意味、彼らの行動こそが、あおり運転より怖かったように思います。
『アオラレ』(90分/アメリカ/2020年)
公開:2021年5月28日
配給:KADOKAWA
劇場:全国にて
監督:デリック・ボルテ
脚本:カール・エルスワース
音楽:デヴィッド・バックリー
出演:ラッセル・クロウ/カレン・ピストリアス/オースティン・マッケンジー/ガブリエル・ベイトマン/ジミ・シンプソン/ジュリエンヌ・ジョイナー/スティーヴン・ルイス・グラッシュ/アン・レイトン/マイケル・パパジョン/ルーシー・ファウスト/デヴィン・タイラー
Official Website:https://movies.kadokawa.co.jp/aorare/
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