【映画レビュー】悪の法則 / The Counselor
リドリー・スコットの代表作と言えば、『ブレードランナー』、『エイリアン』などの近未来SFムービー。
と言いつつも、実は『テルマ&ルイーズ』、『プロヴァンスの贈りもの』などのドラマ作品も多く手がけています。
そんなリドリーの最新作は、主役級の豪華スターを多く取り揃えたクライム・サスペンスムービー、『悪の法則』。
ひとつひとつのセリフが後から効いてきて、ゾワゾワさせてくれる犯罪劇です。
STORY
メキシコ国境近くのテキサス州の街のある弁護士“カウンセラー”は、友人の実業家・ライナーと共に麻薬ビジネスを始めようとしていた。恋人のローラと結婚を約束したばかりのカウンセラー、美しい恋人のマルキナと暮らすライナー、彼らは新ビジネスに浮き足立つ。そんなカウンセラーに、裏社会の麻薬仲買人・ウェストリーは忠告を与える。そして、ウェストリーの忠告通り、ある事故のせいで取引が頓挫。彼らは命を狙われることになる。
解説
映画『ノーカントリー』の原作者コーマック・マッカーシーが脚本を書いた本作。
幸せでリッチな生活を送っているセレブたちが、ちょっとした儲け心から手を出した麻薬ビジネスで、転落していく様を描いています。
この描き方が、なんとも巧妙。
何もかも直接的に描かずに、登場人物の会話の断片や違う場所で起きている状況を描くことで、観客に何が起こるか、何が起きたかを想像させるようにしています。
これは、登場人物に対しても同じこと。
「殺すぞ」と言われるのではなく、「過去にこういう状況に陥った人間が、残虐な方法で殺された」と何度も告げることにより、これから自分の身に起こることを想像させるのです。
マイケル・ファスベンダー演じるカウンセラーは、ちょっとした傲慢と虚飾の罪で、あっと言う間に悪の法則に飲み込まれていってしまいます。
そして、ハビエル・バルデム演じるその友人の実業家のライナーは、傲慢と虚飾の罪、そして美しい女性・マルキナに心を奪われた罪で転落していくのです。
特に注目して欲しいのは、マルキナを演じたキャメロン・ディアス。
トレードマークの太陽のような笑顔を封印し、クールな謎の美女・マルキナを演じています。
スリムな身体にチーターのような模様のタトゥーを入れ、冷酷に男たちの運命を変えていくマルキナ。
彼女の“車とのセックス”は、なんというか、ゾッとしつつも目をそらせなくなるような、そんな暗い魅力を感じさせるのです。
不思議な哲学を披露する麻薬ディーラーのブラッド・ピット、独自のこだわりを持つファッションに身を固めた実業家のハビエル・バルデム、清純な魅力を放つペネロペ・クルスら、彼らの演技からも目が放せません。
キャラクターの心象をはっきりと描かずに、しかしそのドラマを盛り上げていくリドリー・スコットの手腕が映える、心をざわつかせるようなクライム・サスペンスだと思います。
別コラム
作品情報
『悪の法則』(118分/アメリカ=イギリス/2013年)
原題:The Counselor
公開:2013年11月15日
配給:20世紀フォックス映画
劇場:TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
監督:リドリー・スコット
脚本:コーマック・マッカーシー
出演:マイケル・ファスベンダー/キャメロン・ディアス/ブラッド・ピット/ハビエル・バルデム/ペネロペ・クルス/ディーン・ノリス/ジョン・レグイザモ/ゴラン・ヴィシュニック/ロージー・ペレス/ナタリー・ドーマー
公式HP:http://www.foxmovies.jp/akuno-housoku/
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