【映画レビュー】青天の霹靂
劇団ひとりの原作小説を、劇団ひとりが監督し、劇団ひとりと橋部敦子が脚本を手がけ、劇団ひとりが重要な役柄で出演している、この映画『青天の霹靂』。
そもそも、劇団ひとりの芸風自体が、かなりトゥーマッチなものだと思うのですが、この初監督映画にはその劇団ひとりの持ち味がかなり濃く出ています。
なので、劇団ひとりの芸風が苦手な人は、やはり苦手かもしれませんね。
しかし、この映画『青天の霹靂』、初監督作品ではあるのですが、かなり老成した味を感じさせる人情ドラマに仕上がっています。
初監督作品なのだからもうちょっと弾けた若さのある作品になってもいいのではと思ったりもするのですが…。
映画マニアとしても知られる劇団ひとりの映画体験や幼い頃の原体験が、彼の中には色濃く残っているのかもしれませんね。
STORY
39歳の売れないマジシャン・晴夫のもとに、20年間会っていなかった父・正太郎の訃報が届く。河川敷にある父親の死亡現場を訪れた晴夫がパッとしない自分の人生を嘆いていた時、一筋の雷が晴夫を打つ。再び目を覚ました時、そこは昭和48年の世界だった…。浅草にある雷門ホールにマジシャンとして雇われた晴夫は、そこで若き日の自分の父親と、自分を捨てて出て行ったという母親と出会う。そして晴夫と正太郎はコンビを組むこととなり…。
解説
この映画の主人公は、大泉洋演じる轟晴夫。
父が浮気をしていたため、自分が産まれてすぐ母は自分を捨てて出て行き、ラブホテルの清掃をしている父親に育てられた男です。
高校卒業後すぐに家を出て、それ以来父親とも会っておらず、マジックバーのバーテンとしてこまごまとしたマジックをお客に披露する毎日。
後輩はテレビに出演して売れっ子になるのに、自分はいつまでたってもうだつが上がらない。
こんな自分に生きる価値があるのかと思っている時、父親が河川敷で野たれ死んでいたという報せが入る…。
そんなこんなで人生に絶望を感じていた晴夫、“青天の霹靂”に打たれ、自分が産まれるちょっと前の世界にタイムスリップしてしまいます。
そして、いい加減ではあるもののマジシャンとして活動していた若き日の父・正太郎(劇団ひとり)と、父のアシスタントをしていた美しい母・悦子(柴咲コウ)と出会うのです。
やがて彼は、自分を捨てたはずの母親と、どうしようもないと思っていた父親の想いを知るようになるのです…。
正太郎を演じる劇団ひとりは、“謎の中国人マジシャン”チンとして怪しい中国なまりで舞台に登場するのですが、このへんはまさに彼の芸そのもの。
さらにはアシスタントを務める悦子役の柴咲コウにもチャイナ服を着せて怪しい中国なまりでしゃべらせるわ、大泉洋演じる晴夫も“謎のインド人マジシャン”という設定にし、怪しいインドなまりをしゃべらせます。
このあたり、まさに劇団ひとりによる劇団ひとりの映画、という感じが強いので、苦手な人は苦手かもしれません。
でも、その後は誰もが予想できる展開で、きっちり感動路線に持っていきます。
まあ、イメージとしてはペーソスあふれる人情悲喜劇、という感じで、世のお母さんがたは号泣を誘うことでしょう。。。
さて、この映画、主な舞台は昭和48年の東京・浅草。
昭和48年と言うと、私が生まれるちょっと前なのですが、この時代の日本ってこんなに“昭和”だったのか…と、驚いてしまいました。
浅草の下町が舞台ということもあるかもしれませんが、あの生活ぶりや車やファッションの古くささを見ると、40年前というのは相当昔なんだなと実感させてくれました。
そう言えば、私が小さい頃は、あんな風なとっくりのセーター、よく着てたかも。。。
作品情報
『青天の霹靂』(96分/日本/2014年)
公開:2014年5月24日
配給:東宝
劇場:全国にて
原作・監督・脚本・出演:劇団ひとり
脚本:橋部敦子
エグゼクティブプロデューサー:山内章弘
企画プロデュース:川村元気
出演:大泉洋/柴咲コウ/笹野高史/風間杜夫/岩井秀人
公式HP:http://www.seiten-movie.com/
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