桜、ふたたびの加奈子

娘を亡くした母親の苦悩と再生を静謐で美しい映像で描いた映画『桜、ふたたびの加奈子』

春が巡り来る毎に咲く桜、流れ行く小川、幼い子どもたち、生まれたばかりの赤ん坊…。
そういった自然の存在が持つ“力”と“神秘”を強く感じさせてくれます。

広末涼子稲垣吾郎が日本国中のどこにでもいるような若夫婦を演じているのですが、心に迫ってくるような深い演技をみせています。
特に、母親でもある広末涼子の演技は、緊迫感あふれる佐村河内守の音楽も相まって、ゾクゾクするような迫力を感じさせます。

それにしても、赤ん坊と母親との絆の間には、父親は入れないものなのでしょうかね。。。
そこに入れずただ妻を見守るしかできない父親を演じている稲垣吾郎の、何も出来ずに苦しむ父親の雰囲気も、とても良かったです。
母と子どもの間の絆を感じる時、どの父親も疎外感を感じてしまうものなのでしょうかね。。。

<STORY>
桐原信樹、容子夫妻は、交通事故で一人娘の加奈子を亡くしてしまう。容子は自分を責め、自殺を図ったり、姿の見えない加奈子に話しかけるようになる。加奈子の四十九日の日、飼い犬のジローが逃げ出し、容子はジローの後を追う。そこで容子は妊娠中の少女・正美と正美の相談相手である小学校教師・砂織と出会う。容子は二人と仲良くなり、三人でよく会うように。やがて生まれてきた正美の娘・夏月には、加奈子と同じホクロがあった…。

<Cheeseの解説>
大きな光に包まれるような葬儀のシーンから始まり、初七日、四十九日、一周忌、三回忌と進んでいくこの作品、日本人の死生観を丁寧に描き出しています。
大きな哀しみも、日が経つにつれて落ち着き、違う形をとっていく…。
哀しみを抱えていても生きていかねばならず、家族は支えあっていかねばならない…。
初七日、四十九日という折々の法要は、人間の心理に寄り添った、よくできたシステムなのですね。

この物語では、一年ごとに普段なかなか集まることがない人びとが集まって桜の下で歓談するというシステム、“お花見”も大きな意味を持っています。

死、輪廻、魂、愛、それらの物語が、桜の下で大きな展開を見せていくのです。

美しく静かに続いていくこの作品、新津きよみの原作を読んだ栗村実監督は、最初はハリウッドで『シックス・センス』のような映画にしようと考えていたのだとか。
それを日本映画として撮ることになり、このような死生観をベースにした夫婦のドラマにしたのだそう。
本当に、観る人によってはホラーのように感じる人もいるでしょうし、愛の物語に涙が止まらない人もいるでしょう。
最後の展開には、思わずゾワゾワしてしまいました。

何度も登場する“環”のモチーフ、一年ごとに繰り返し咲き誇る桜、俯瞰で描かれる日々の生活といった映像も心に残ります。
よく練られた脚本、美しい映像、心揺さぶる音楽、俳優たちの深い演技に彩られたこの作品、桜の咲く季節にこそ観て欲しい一作です。

しかし、“生まれ変わり”ということを特に大きな疑いなく信じてしまう登場人物たちを観て、外国の人たちはどう感じるのでしょうか…。
そのあたり、ちょっと聞いてみたい気もします。

『桜、ふたたびの加奈子』(106分/日本/2013年)
公開:2013年4月6日
配給:ショウゲート
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
原作:新津きよみ
監督・脚本:栗村実
音楽:佐村河内守
出演:広末涼子稲垣吾郎福田麻由子高田翔江波杏子
公式HP:http://sakura-kanako.jp/

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