【映画レビュー】大人ドロップ
1990年生まれの24歳にして、華麗なる経歴を誇る若手俳優、池松壮亮。
10歳でミュージカル「ライオン・キング」でデビューし、あのハリウッド映画『ラストサムライ』にも出演し、ここ数年の日本映画にはなくてはならない存在となった彼。
そんな彼が、その高い演技力を活かして“恥ずかしくて痛い”青春模様をまっすぐに描いたのが、映画『大人ドロップ』です。
うーん、まあね、誰しも大人になりかけの高校生の頃には、恥ずかしい思い出がいっぱいだよね。。。
それが大人からは懐かしかったりもするのですが、まあ、主人公たちの青春模様、やっぱり物語っぽ過ぎて恥ずかしいと思います。
<STORY>
静岡の河津町で暮らす高校三年生の浅井由は、親友のハジメとうだつの上がらない毎日を過ごしていた。ある日ハジメが想いを寄せている入江杏と話をしたいと言い出し、由、ハジメ、杏、杏の親友のハルと4人で出かけることとなる。実は由と杏は小学校の頃からの幼なじみだったが、いつしか疎遠になっていた。デート当日、由に怒った杏は帰ってしまう。後日、家庭の事情で杏が和歌山に引っ越したと知った由は、ハジメと共に杏の暮らす海辺の街へ旅に出る…。
<解説>
この映画の主人公・池松壮亮演じる浅井由は美術部。
イケてない親友のハジメ(前野朋哉)と共にイケてない青春を過ごしています。
とは言え、橋本愛演じるクールでミステリアスな美少女・杏ちゃんと“肝油ドロップ”でつながる幼なじみだったり、小林涼子演じる元気な美少女・ハルとは軽口を叩き合う仲だったり、傍から見る分には、なんだかんだでいい感じの青春を送っている男の子です。
そんな彼が、高校最後の夏休み、親友のハジメが好きだという入江杏を意識し始めることに。
しかし、杏はひっそりと引っ越して行ってしまい、ハジメとともに和歌山まで旅に出るのです。
そして、ハジメにはナイショで、再び彼女に会いに行き…。
18歳の彼らにとって、恋も愛も裏切りも背徳も、何もかもが初めての出来事。
そんな初めてのできごとを、ぎこちなく、おずおずと、でも大胆に経験していく彼らの様子は、なぜかとてもリアリティがあり、観ていて恥ずかしくなってくる大人も多いことでしょう。
また、橋本愛ちゃん演じる入江杏が、絵に描いたようなクールでミステリアスな美少女。
複雑な家庭環境や家族の病気、なさぬ仲の母親とのあいまいな関係など、ドラマのような薄幸設定で、橋本愛の一本調子な演技がぴったりはまっているのです。
このドラマの重要な舞台のひとつに和歌山の白浜が出て来るのですが、この白浜の海岸で、荒れ狂う天候の中、強い風と雨に逆らいながら由と杏が会話を交わすシーンがあります。
シーン自体も強い意味を持つシーンなのですが、風の中で必死に声を張り上げて交わされるセリフの数々が、その天候のおかげで身体性を持ち、強いリアリティを帯びて見えてくるから不思議です。
撮影の日にはちょっと意地悪だと思えた映画の神様ですが、実はそれは愛のムチで、むしろ映画の仕上がりにプラスの魔法をかけてくれた、ということなのかもしれませんね。
ここ最近は『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』、『風俗行ったら人生変わったwww』など、イロモノ的な作品が多かった飯塚健監督が描く映画『大人ドロップ』、なかなかに恥ずかしく、なかなかにまぶしい青春映画です。
いやあホント、若い頃の恋愛って、大人になってから考えると、いろいろ恥ずかしいことだらけですよね。
『大人ドロップ』(119分/日本/2014年)
公開:2014年4月4日
配給:東宝映像事業部
劇場:全国にて
原作:樋口真哉
監督・脚本:飯塚健
出演:池松壮亮/橋本愛/小林涼子/前野朋哉/渡辺大知/馬渕英俚可/諏訪太朗/美波/香椎由宇/川原雅彦
公式HP:http://otonadrop.jp/
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