【映画レビュー】クロユリ団地
いわゆる“アイドルホラー”なのかなと思いきや、中田秀夫監督が「この20年の集大成」というだけあって、人間の心理を描いたしっかりとした内容になっています。
あっちゃんもノーメイクのようなくすんだ顔色で、鬼気迫る演技を披露。
なかなかな女優魂を見せてくれます。
STORY
黒百合団地の402号室に引っ越してきた二宮明日香。母に頼まれ隣室に挨拶に行くが、隣人はチェーンをかけたまま姿を現さない。その夜、隣室からは壁を引っ掻くような音が聞こえ、朝は大音量で目覚まし時計が鳴り響くのだった。明日香は、団地の砂場で一人遊んでいた少年・ミノルに声をかけ、だんだんと打ち解け、言葉を交わすようになる。引越翌日から介護の専門学校に通い始めた明日香は「黒百合団地には幽霊が出る」という噂を聞き…。
解説
1998年の日本映画『リング』、2005年のハリウッド映画『ザ・リング2』を手がけた中田秀夫監督が、6年ぶりに日本を舞台とした本作。
かつて、高度経済成長と共に日本各地に急増したものの、今では老朽化し、住む人も少なくなってきた集合住宅“団地”を舞台にしています。
前田敦子演じる主人公の二宮明日香は、その老朽化した“黒百合団地”の402号室に新しく引っ越して来た少女。
引越の翌日から、介護士になるための専門学校へ通い始めます。
そこで、団地の公園でひとりぼっちで遊んでいた少年・ミノルと仲良くなります。
そして、引越からしばらくして、隣の401号室に暮らす老人が死んでいるのを発見するのです。
その後おかしな現象を体験するようになった明日香は、遺品整理・特殊清掃などを行っている青年・笹原にその現象について相談をするのですが…。
物語はツイストが効いていますが、その仕掛けはわかりやすく、すぐに仕掛けは明かされていきます。
そして、真実のテーマが立ち現れてくるのです。
多くの人が同じ建物の中で暮らしているはずの“団地”で、老人の孤独死などが発生している現代。
現代では、多くの人が、人と一緒にいても解消できない“孤独”や“淋しさ”、“空虚さ”を抱えていきています。
その“孤独”は、画一的なものではなく、それぞれの個人が様々な形で抱えているものなのです。
前田敦子演じる明日香、成宮寛貴演じる笹原、それぞれに自分の淋しさに捕われ、自縄自縛に陥っているのでした。
中田秀夫監督は、団地という舞台を得て、現代日本で多くの人が抱える“孤独”という問題をホラーという形で描き出しています。
貞子と同じくらいブレイクするかは謎ですが、ミノル君もキャラクターとして定着しそうな気がしますね。
登場人物たちのその後も気になるし、これはパート2、あるんだろうな。。。
作品情報
『クロユリ団地』(106分/日本/2013年)
公開:2013年5月18日
配給:松竹
劇場:全国にて
企画:秋元康
監督:中田秀夫
脚本:加藤淳也/三宅隆太
出演:前田敦子/成宮寛貴/勝村政信/西田尚美/田中奏生/高橋昌也/手塚理美
公式HP:http://kuroyuri-danchi.jp/
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