インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実 / Inside Job
2008年のリーマン・ブラザーズの破綻から始まる世界不況は、世界経済に大きな影響を与えました。
私が今フリーライターをやっていたりするのも、回り回ってリーマン・ショックの影響もあったりするわけですが…。
そんな感じで、世界中の多くの人が、間接的に影響を受けているであろう、世界不況。
この世界不況の原因や、経緯などをおったドキュメンタリーが、この映画『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』。
第83回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門で賞を受賞した作品です。
経済用語や金融機関の法人名、肩書きや個人名などが数多く登場するこのドキュメンタリー。
いやー、字幕制作、大変だっただろうなぁ。
と、思っていたら、この作品、字幕監修を森永卓郎氏が努めているようです。
そういえば、モリタクさんって経済学者だったんですね。。。
<STORY>
2008年のリーマン・ショックをきっかけに巻き起こった世界不況。その原因は、規制緩和にあった。1930年代の大恐慌を教訓にして、アメリカの金融業界には様々な規制がかけられていた。しかし、レーガン政権下の1980年代、規制がどんどん撤廃される。そしてクリントン政権、G・ブッシュ政権でも規制緩和をさらに後押し。利益を求める企業、政治家、経済学者たちが結託し、ハイリスク・ハイリターンの経済商品がどんどん作られていく…。
<Cheeseの解説>
原題の“Inside Job”とは、「内部の者による犯行」という意味だそう。
このドキュメンタリーは、その原題どおり、アメリカ国内にいながら、アメリカ国民の国益を考えず、自分たちの利益のみを考え、規制を緩和し、世界を不況に陥れた人々を暴いているのです。
様々な経済人へのインタビューがメインとなっているこのドキュメンタリーは、“Inside Job”を行ったとされる人々へのインタビューも多く挿入されています。
インタビュアーが、彼らに容赦なく鋭い質問を投げかけると、彼らはみっともなくもキチンと応えようとしません。
「カメラを止めてくれ」
「約束の時間はあと5分だ。これが最後の質問だ」
「私は知らない」
質問から逃げる彼らの姿は、滑稽そのもの。
しかし、インタビューに答えている彼らは、まだマシなのかもしれません。
何人もの政治家や起業家、学者たちが、このドキュメンタリーのインタビューを拒否したそうです。
ただ、彼らは滑稽で卑怯であっても、経済的には法外な報酬を得て、そして罰せられることもなく暮らしている、勝ち組ではあるのですよね。。。
そして、彼らが法外な収入を得ている裏で、世界中に失業者が溢れているのです。
このドキュメンタリーの中では、世界不況の原因を時系列で詳しく説明しているので、経済クラスタではない人々にも、どういった流れで不況が起こったのかがわかりやすいです。
ただ、聞き慣れない企業名や団体名、役職名がひっきりなしに登場するので、頭の中を整理するのが少し大変でした。
でも、見ているだけでも、不況の原因の流れを知ることはできるので、経済問題を知りたい人々への入門編としては、とても役立つドキュメンタリーだと思います。
この作品の最後は、力強い言葉で締めくくられます。
勝ち逃げしようとしている犯罪者たちに、この言葉はどう響くのでしょうか。
『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』(108分/アメリカ/2010年)
原題: Inside Job
公開:2011年5月21日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて順次公開
監督:チャールズ・ファーガソン
出演:ポール・ボルカー/ジョージ・ソロス/エリオット・スピッツァー/バーニー・フランク/ウィリアム・アックマン/ダニエル・アルパート/ジョナサン・アルパート
ナレーション:マット・デイモン
公式HP:http://www.insidejob.jp/
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