【映画レビュー】ギャラクシー街道
「三谷幸喜が宇宙を舞台にしたSFを描くと、こうなるのだろうなあ」と、思わず納得してしまう映画『ギャラクシー街道』。
本作『ギャラクシー街道』には、舞台が宇宙に浮かぶギャラクシー街道沿い(高速バス乗り場の上)にあるハンバーガーショップが舞台で、様々な宇宙人や宇宙で暮らす人々が出てきます。
でも、基本はどこまで行っても閉ざされたスペースで巻き起こる人間ドラマ。
地球人だって宇宙人だって、恋もすればお腹も空くし、妊娠だってしちゃうのです。
<STORY>
西暦2265年、太陽系の木星と土星の間にはスペースコロニー“うず潮”が浮かんでいた。その「うず潮」と地球を結ぶ幹線道路が“ギャラクシー街道”だ。このギャラクシー街道の中央にあるハンバーガー店の店長・ノアは、妻・ノエの浮気を疑っていた。そんなノアの店に、偶然にもかつての恋人・レイが夫のババサヒブと共にやってくる。他にも、スペース国土交通省の役人・ハシモト、スペース客引きのゼットなど、様々なお客さんがやって来て…。
<解説>
「科学的考証は一切やりたくない。だってSFですよ、なんでもありでしょ」
という三谷幸喜監督が手がけた映画『ギャラクシー街道』、様々な外見の宇宙人や、宇宙で働く様々な職業の人が登場します。
どんな宇宙人が登場するかというと、頭に無数の花が咲いている宇宙人、月に一度脱皮する宇宙人、雌雄同体の宇宙人、足下がいつも濡れているカエル型宇宙人、微妙に鼻が高い宇宙人、正義の味方キャプテンソックスに変身する宇宙人、パニックになると強力な電磁波を出す宇宙人、人々の悩みに答えるスペースコンピューター、などなど。
そして、どんな職業の人が登場するかというと、元舞台女優に、元大学講師、スペースリフォーム業者にスペース国土交通省の役人、スペースドクター、スペース客引きにスペース娼婦、スペース警備隊隊員、スペースパートタイマー、などなど。
描かれているのは、そんな様々な宇宙人たちが繰り広げる、普遍的な日常の物語。
夫の過去の恋人登場に動揺する妻、妻の浮気を疑う夫、結婚適齢期にあせり恋人と別れて別の男性と結婚しようとする女性、初めてコールガールを買おうかどうしようか悩む男性など、地球のどこにでもありそうな話が展開していくのです。
そんな人間ドラマ(宇宙人ドラマ?)が描かれる映画だからか、作品を彩る美術も、人間くささを感じさせる手作り感満載の美術になっています。
通常であればCGで描かれるであろう窓外の宇宙空間すら、宇宙の絵が描かれた書き割りで表現されているのです。
そんな、レトロ感を感じさせるハンバーガー店の店内、壮大でファンタジックな宇宙空間、どこか懐かしい感じすらする宇宙人たちの造形に彩られる宇宙人ドラマを描いた『ギャラクシー街道』、最後まで三谷監督の遊び心がつまっています。
宇宙に生きるすべてのものを祝福する宇宙人賛歌のスペースドラマ、最後にもお楽しみが待っていますので、お見逃しなく。
『ギャラクシー街道』(110分/日本/2015年)
公開:2015年10月24日
配給:東宝
劇場:全国にて
監督・脚本:三谷幸喜
製作:石原隆/市川南
プロデューサー:前田久閑/和田倉和利/西原恵
撮影:山本英夫
美術:北川深幸
装飾:田中宏
音楽:荻野清子
出演:香取慎吾/綾瀬はるか/小栗旬/優香/西川貴教/遠藤憲一/段田安則/石丸幹二/秋元才加/阿南健治/梶原善/田村梨果/浅野和之/山本耕史/大竹しのぶ/西田敏行
Official Website:http://galaxy-kaido.com/
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