復讐捜査線 / Edge of Darkness
今とてもタイムリーで、なんだかとても身近に感じられる映画『復讐捜査線』。
メル・ギブソンが、ある陰謀で娘を殺され、復讐を誓う父親を演じています。
その陰謀と言うのは…、核開発。
政府と企業が一体となって、極秘裏に核兵器を開発していることを告発しようとした娘は、放射性物質で衰弱し、その上、射殺されてしまうのです。
そんな巨大な陰謀に、身一つで立ち向かう父親…。
今、この作品を日本人が観ると、もともと製作者たちがこの映画に込めた以上の意味を感じてしまいます。
だからこそ、今、観る価値のある作品だと思います。
<STORY>
ボストン警察のベテラン刑事・クレイブンの家に、娘・エマが帰ってきた。24歳の彼女はマサチューセッツ工科大学を卒業し、ノースモア社で研修生として働いていた。嘔吐を繰り返しすエマを病院に連れて行こうと玄関ポーチに出た時、エマが何者かに射殺されてしまう。犯人はクレイブンを狙ったのかと思われたが、クレイブンが捜査をすすめる内、ノースモア社が絡む陰謀に気付く。ノースモア社は、ひそかに核兵器を開発していたのだ…。
<Cheeseの解説>
“娘を殺された父親が、鬼となって復讐を果たす”というストーリーは、映画ではよくあります。
この作品がひと味違うのは、父親の職業が刑事で、陰謀や罠から身を守る術を知っていることや、本当の“悪”の正体がわかりづらいこと。
父親が復讐を果たしたとしても、それが本当の復讐なのか、復讐の意味があるのか、父親の心は満足したのか…。
いろいろな疑問が残ります。
だからこそ、深く考えさせられる一作でもあるのです。
主役のメル・ギブソンほか、敵か味方かわからない謎の男・ジェドバーグを演じるレイ・ウィンストンや、ノースモア社の社長・ベネットを演じるダニー・ヒューストンの、悪の中でもがく男たちの演技が、なんともシブい。
当事者である自分たちでさえ、その“巨悪”の正体はわからず、自分の目で見える範囲でしかもがくことはできない…。
彼らに何かあっても、そこだけ切り捨てられて巨悪は続く…。
原題が示す“Edge of Darkness”にいる男たちが、それぞれの“悪”に手を染めて行く姿を、シブい演技とストレートな演出で描いています。
『007 カジノ・ロワイヤル』のマーティン・キャンベル監督が、自身の出世作であるTVシリーズ「刑事ロニー・クレイブン」をセルフ・リメイクした本作。
凝った演出手法ではなく、物語の面白さでグイグイ見せて行くつくりになっているのは、やはり監督の自信の現れなのでしょうか。
骨太なエンターテイメント作品でありつつも、様々な示唆を秘めたこの作品、今だからこそ観ておきたい一作です。
別コラム:オトコに見せたいこの映画 『復讐捜査線』
『復讐捜査線』(116分/アメリカ=イギリス/2010年)
原題:Edge of Darkness
公開:2011年7月30日
配給:ポニーキャニオン
劇場:新宿ミラノほか全国にて
監督:マーティン・キャンベル
出演:メル・ギブソン/レイ・ウィンストン/ダニー・ヒューストン/ボヤナ・ノヴァコヴィッチ/ショーン・ロバーツ
公式HP:http://www.fukushuu-movie.com
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