【映画レビュー】マッドマックス 怒りのデス・ロード / Mad Max: Fury Road
30︎年ぶりの「マッドマックス」シリーズ最新作、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。
ヤバかった。熱かった。泣いた。
やっぱりジョージ・ミラー監督、頭おかしい。天才過ぎる。
こんな世界観を考えつき、こんなキャラクターを作り上げ、きっちり視覚化してしまうジョージ・ミラー、すごいです。
オーストラリアは彼を人間国宝にして、国費で「マッドマックス」シリーズを作り続けさせればいいんじゃないでしょうか。
そして、自分たちから人間性を搾取し、抑圧する存在から女性たちを連れて逃げ、砂漠を突っ走るスキンヘッドのシャーリーズ・セロン。
一生ついて行きたくなるカッコ良さです。これは惚れる。
<STORY>
元警官のマックスは、砂漠で愛車のインターセプターごとイモータン・ジョーの軍団に囚われてしまう。その時、ジョーの右腕の女性将軍・フュリオサが、ジョーの5人の妻たちを連れて砦から脱走。ジョーの配下・ウォーボーイズのニュークスに血液を輸血するための血液バッグとなっていたマックスは、フュリオサたちを追うニュークスに同行させられる。そして機会を見つけてニュークスから離れたマックスは、フュリオサと共にイモータン・ジョーたちと闘うことに…。
<解説>
かつてジョージ・ミラー監督×メル・ギブソンのコンビで、一世を風靡したカーアクション・ムービー『マッドマックス』。
『マッドマックス』(1979年)、『マッドマックス2』(1981年)、『マッドマックス/サンダードーム』(1985年)とオトコたちを熱くさせてきたこのシリーズ最新作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がいよいよ公開されます。
メル・ギブソンに代わりマックスを演じることになったのは、『ダークナイト ライジング』のベイン役の印象が強いトム・ハーディ。
今回も映画の三分の一くらいの間はマスクを付けられて、無口なヒーロー、マックスを演じています。
この「マッドマックス」シリーズ、シリーズではあるものの、作品ごとにそれぞれ世界の荒廃が進んでいたりして、ほぼストーリーに関連はありません。
このシリーズに共通して登場するのは、基本的には主人公のマックス・ロカタンスキーのみ。
元警官で、家族を不当に奪われた孤独な男であるマックス・ロカタンスキーは、荒廃した世界で、愛車のインターセプターを駆り、孤高の人生を送っています。
そして、その道行きの途中で、出会った様々な人々と共闘したり戦ったりしながら、何かから逃げ、何かを求めて生きている男なのです。
今作でマックスが足を踏み入れるのは、イモータン・ジョーという異形の男に支配される世界。
乾いた世界で貴重な“水”という資源を確保しているイモータン・ジョーは、宗教のような形で“ウォー・ボーイズ”と呼ばれる部下たちに自分を崇拝させています。
そんな彼は、美しい5人の女たちを、健康な子どもを作るための妻として迎え、隔離しています。
彼は男たちを絶対的な力で支配し、女を“子を産む機械”として扱い、圧倒的な存在として世界に君臨していたのです。
そんなイモータン・ジョーを許せないのが、シャーリーズ・セロン演じる大将軍・フュリオサ。
これまでの戦いで右腕を失くした、スキンヘッドの彼女は、イモータン・ジョーにひと泡吹かせるため、彼の大事な妻たちを奪い、巨大トラック“ウォー・タンク”に彼女らを隠して、彼女の生まれ故郷である“緑の地”を目指し、砂漠を疾走します。
しかし、やがてフュリオサが妻たちを連れて逃げたことに気付いたイモータン・ジョーは、“ウォー・ボーイズ”たちを引き連れ、フュリオサたちの追跡を始めるのでした。
“ウォー・ボーイズ”の一員であるニュークスの“輸血袋”として、その追跡に同行することになったマックスは、機会をみてニュークスを倒し、フュリオサと共闘することとなるのですが…。
この『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の見所は、何と言ってもその迫力の追跡劇。
何もない荒野をただひたすらに進む巨大トラック“ウォー・タンク”。
そして、その“ウォー・タンク”を追う、過激でヒャッハーな“ウォー・ボーイズ”たち。
イモータン・ジョーの一軍は、火を噴くギターや、巨大ドラムのビートと共に、轟音を響かせてフュリオサたちをどこまでも追いかけます。
しかし、フュリオサとマックスは、圧倒的な力を持つイモータン・ジョーにどこまで追い込みを掛けられても、彼らを必死に蹴散らし、ただひたすらに未来のために車を駆り続けていきます…。
自分たちの尊厳を奪い、人を人とも思わないイモータン・ジョーに孤独な戦いを挑むフュリオサの姿は、観る者の心を熱くさせます。
実は、フュリオサを演じるシャーリーズ・セロンには、15歳の時に、彼女の母親が暴力を振るう夫を正当防衛で撃ち殺したという過去があります。
彼女が本作で演じているフュリオサは、弱者を支配しようとする強者に毅然として立ち向かう強い女性で、そのキャラクターには彼女自身の母親の影響があるのではないかと思わずにはいられません。
そして、フュリオサが見せるその毅然とした強さが、観る者の心を揺さぶるのだと思います。
そんな強い女性が突っ走るデス・ロードで、生きるために彼女と共同戦線を張るマックスは、タイトルロールでありつつも、ちょっと影が薄かったり…。
でも、“マッドマックス”は言ってみれば概念みたいな者なので、それでいいのだと思います。
何かを勝ち取ろうとする者のところにふらりと現れ、共に戦い、やがて何かを求めて去っていく男、それがマックスなのです。
マックスとフュリオサがひた走る怒りの道、死の道は、本当に激しく、本当に厳しい道です。
でも、その映像は、暴力とエンターテインメントと炎と爆発に満ちた、素晴らしいアクションで、一瞬たりとも飽きることがありません。
2015年という今だからこそできる技術を駆使した、生身の人間が見せる迫力のアクションの数々は本当に凄まじいものなので、ぜひ劇場で観て欲しいと思います。
くやしいけれど、あのアクションの迫力は、どんなに言葉を尽くしても伝わらない、他に類を見ないものだと思うのです。
だから、ぜひ劇場で体験してください。
この作品『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は映画館の大画面で観る方が何倍も楽しめる映画です。
別コラム:オトコに見せたいこの映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(120分/アメリカ/2015年)
原題:Mad Max: Fury Road
公開:2015年06月20日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国にて
監督・脚本:ジョージ・ミラー
音楽:ジャンキーXL
出演:トム・ハーディ/シャーリーズ・セロン/ニコラス・ホルト/ヒュー・キース・バーン/ロージー・ハンティントン=ホワイトリー/ゾーイ・クラヴィッツ/アデレイド・クレメンス/ライリー・キーオ/アビー・リー・カーショウ/ネイサン・ジョーンズ/コートニー・イートン/ミーガン・ゲイル/クエンティン・ケニハン/アンガス・サンプソン/リチャード・カーター/ジョシュ・ヘルマン/iOTA
Official Website:http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル (2015-06-24)
売り上げランキング: 8,700
SMR (2015-05-20)
売り上げランキング: 1,483
売り上げランキング: 929,421
売り上げランキング: 287
売り上げランキング: 1,275