ウォルト・ディズニーの約束 / Saving Mr. Banks
映画『メリー・ポピンズ』と言えば、ジュリー・アンドリュースとディック・ヴァン・ダイクがペンギンと一緒に歌って踊り、ナニーのメリー・ポピンズがバラバラだったバンクス一家を仲良しにしていくステキな物語。
私にとってはやはり「チム・チム・チェリー」が一番親しみがある曲で、幼稚園か小学校で合唱したような記憶があります。
「スーパカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」は面白いけれど、子どもが歌うには難し過ぎた。。。
そんなステキな映画や名曲の誕生に、こんな秘話があったとは…と驚かせてくれるのが、この映画『ウォルト・ディズニーの約束』。
「メリー・ポピンズ原作者の頑固なイギリス風おばさんのパメラ・リンドン・トラヴァースとスーパークリエイターで実業家のウォルト・ディズニーの、『メリー・ポピンズ』誕生までの様々なやりとりを、なんだかんだ言っても感動的に見せてくれています。
しかし、いくらディズニー・スタジオが配給しているとは言え、ウォルト・ディズニーをいい感じに描き過ぎな気も。
いや、いい人だし、すごい人なんでしょうけどねー、そこまでやられると「お前ら、そんなに大ボスのことが好きなのか!」と、ちょっとツッコミたくなったりしてしまうわけです(笑)。
<STORY>
1861年、「メリー・ポピンズ」の著者、P.L.トラヴァース夫人は、20年にわたるウォルト・ディズニーからの「メリー・ポピンズ」映画化の提案を受入れることにする。気は進まないものの、経済的に困っていたのだ。ロサンゼルスを訪れたトラヴァース夫人は、ディズニーや作曲家のシャーマン兄弟らと映画化について話し合う。しかし、「アニメもダメ、ミュージカルもダメ」と厳しい条件を突き付ける彼女に、ディズニーらは途方にくれる…。
<Cheeseの解説>
1964年にジュリー・アンドリュース主演で製作され、大ヒットした映画『メリー・ポピンズ』。
この作品は、原作者のP.L.トラヴァース夫人にとっては、とても思い入れのあるものでした。
20年もの間、ウォルト・ディズニーからの映画化のオファーを断り続けてきたトラヴァース夫人ですが、金銭的に困窮し、オファーを受けざるを得なくなります。
本作『ウォルト・ディズニーの約束』は、気が進まないながらも映画化のための話し合いに参加したトラヴァース夫人の頑なな心を、ウォルト・ディズニーが溶かしていくまでを描いた物語なのです。
エマ・トンプソン演じるP.L.トラヴァース夫人は、もうホントに憎たらしいくらい頑固で偏屈なおばさんとして登場します。
トム・ハンクス演じるウォルト・ディズニーの気遣いをことごとくはねつけては、自分の主張ばかり通そうとするのです。
しかし、物語が進むうち、なぜそんなにトラヴァース夫人が映画化をこばんでいたかがわかってきます。
トラヴァース夫人にとって「メリー・ポピンズ」は幼い頃の思い出が詰まった大切な小説でした。
オーストラリアで育った幼い頃のトラヴァース夫人は、創造性豊かな少女でした。
そんな彼女のことを、いつも大好きなパパが見守っていてくれ、一緒に遊んでくれました。
子どもの創造性を大事にし空想の世界を広げてくれた大好きなパパ。
でも、彼は自由過ぎて、大人としての社会性をうまく発揮できず、仕事に失敗し失意のままに亡くなってしまいます。
そんな状態で途方にくれるママと妹たちの前に颯爽と現れて、生活を立て直すのを手伝ってくれたのは、オウムの柄の傘を持ったエリーおばさんでした。
パパやエリーおばさんの姿を、登場人物のバンクス氏に、そしてメリー・ポピンズに投影したのが、「メリー・ポピンズ」の物語だったのです。
だからこそ、夫人は映画化によってこの物語がめちゃくちゃになってしまうのを、傷ついた少女のように、恐れていたのです…。
ウォルト・ディズニーは、少女時代のままに凍り付いてしまったようなトラヴァース夫人の心を見抜き、ある約束をするのでした。。。
この映画『ウォルト・ディズニーの約束』を観ていると、ウォルト・ディズニーがものづくりをする上で、大事にしていたことがわかるような気がします。
チームワークを大事にし、どんなに難問があっても関わる人すべてが満足できる方法を時間をかけて探し出す…。
そんな彼の姿勢が、多くの名作を作り出し、50年たっても勢いの衰えないディズニー帝国、誰もが楽しめる夢の国を作り出すことを成功に導いたのではないでしょうか。
別コラム:オトコに見せたいこの映画『ウォルト・ディズニーの約束』
『ウォルト・ディズニーの約束』(126分/アメリカ/2014年)
原題:Saving Mr. Banks
公開:2014年3月21日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場:全国にて
監督:ジョン・リー・ハンコック
脚本:ケリー・マーセル/スー・スミス
出演:トム・ハンクス/エマ・トンプソン/コリン・ファレル/ポール・ジアマッティ/アニー・バックリー/ジェイソン・シュワルツマン/B・J・ノヴァク/ブラッドリー・ウィットフォード/ルース・ウィルソン/ヴィクトリア・サマー/キャシー・ベイカー/レイチェル・グリフィス/デンドリー・テイラー
公式HP:http://disney.jp/walt
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