【映画レビュー】私の中のあなた / My Sister’s Keeper
キャメロン・ディアス主演の映画『私の中のあなた』。
新生ギャガ配給の、号泣必至の感動ドラマです。
同じくギャガ配給だった大ヒット韓国映画『私の頭の中の消しゴム』を彷彿とさせるタイトルですね。
この映画の原作本の邦題が「わたしのなかのあなた」だそうで、それにも準じた形になっているのでしょうが、配給スタッフとしてはかなり『私の頭の中の消しゴム』を意識しているのでは?
ちなみに、原題は「My Sister’s Keeper」。こっちの方が、あっている気がするなぁ…。
<STORY>
11歳の少女・アナは、白血病を病む3つ違いの姉・ケイトのドナーとなるために遺伝子操作により“作られて”生まれた。幼い頃から手術を繰り返し、臍帯血、輸血、骨髄などをケイトに提供し続けてきたアナ。近頃またケイトの調子が悪く、今度は腎臓をひとつ提供しなければならなくなりそうだ。アナは弁護士のもとを訪れ、「両親を訴えたい」と申し出る。ケイトのために全てを捨てて尽くしてきた母・サラはアナの突然の言葉に驚くが…。
<解説>
物語の途中から、劇場中に鼻をすする音が途絶えることがないこの作品。
“家族”“きょうだい”というものをしみじみと考えさせてくれます。
キャメロン・ディアスはこういう“頑迷なまでに思い込みで突っ走る女性”を演じると天下一品。
元弁護士で口も立つ、盲目的に娘を守ろうとする気の強い母親役を見事に演じています。
アナ役のアビゲイル・ブレスリン(『リトル・ミス・サンシャイン』で最年少にてアカデミー助演女優賞にノミネートされた逸材です)もケイト役のソフィア・ヴァジリーヴァも素晴らしい。
兄弟・姉妹の愛っていうのはこういうものなのかなあと、きょうだいのいない私にはちょっとうらやましく感じました。
ただ、冒頭にも書きましたが、映画を通して観ても“私の中のあなた”という邦題をぴったり感じないんですよね…。
アナの中にあるケイトと同じ遺伝子、ケイトの中にある母・サラと同じ遺伝子、そういう同じ遺伝子を持つ“家族同士の愛”というものを表しているのだろうとは思うのですが、なんかしっくりこない感じ。
原作未読なので推測でしかないのですが、原作の小説の中ではそういう部分をエピソードやモノローグなどでもっとじっくり書き込んであるのではないでしょうか。
映画化にあたり、その辺の描写はニック・カサヴェテス監督がざっくり削除しちゃったのではないか、とつい思ってしまいます。
なので、小説の邦題をそのまま映画の題に付けたところ、なんとなく据わりの悪い邦題になってしまったのではないか…、なんて、想像するのです。
「My Sister’s Keeper」の方が、ケイトの命を保つためのドナーであるアナ、ケイトの命を必死になって守ろうとする母・サラ、ケイトの人生を幸せなままで終わらせるために努力する家族や周囲の人たち、すべての人を表しているように思えて、なんだか適切な気がします。
とはいえ「マイ・シスターズ・キーパー」ってカタカナにしただけじゃ、なんか微妙になっちゃうからやっぱダメかもですね。。。
『私の中のあなた』(110分/アメリカ/2009年)
原題:My Sister’s Keeper
公開:2009年10月9日
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
劇場:TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
監督:ニック・カサヴェテス
出演:キャメロン・ディアス/アビゲイル・ブレスリン/ソフィア・ヴァジリーヴァ/ジェイソン・パトリック/アレック・ボールドウィン
公式HP:http://watashino.gaga.ne.jp/
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