【映画レビュー】ドン・ジョン / Don Jon
『(500)日のサマー』などの影響か、どうにも草食系男子のイメージが強いジョセフ・ゴードン=レヴィット。
『LOOPER/ルーパー』などのハードな映画にも出演していますが、なんとなく優しげな印象が強い気がします。
そんな彼が初監督&主演を務めた映画『ドン・ジョン』は、ガッツリ肉食系。
理想の女をポルノに求め、自分も理想のオトコになるべく肉体を鍛え、部屋をクリーンに保ち、週末ごとに一夜限りの恋愛を楽しんでいる“ドン・ファン”ならぬ“ポルノの帝王、ドン・ジョン”を主人公に据え、オトコとオンナのすれ違う恋愛模様を描いています。
STORY
ルックスもよく、身体も鍛えているモテ男のジョン。週末のクラブでは常にナンパに成功し、女の子もよりどりみどりだが、実は本物の女性よりポルノの方が好きという男。そんな彼が、バーバラという美女に恋をした。アプローチの結果恋人になることに成功するが、バーバラはポルノが大嫌い。隠れてポルノを見ながらも、ジョンはバーバラの理想のオトコになるために夜学に通い始める。そこでジョンはエスターという妙な年上の女性と出会い…。
解説
主人公のジョンは、ワークアウトで鍛えた見事な肉体と甘いルックスで一夜の相手には不自由しない、でも生身の女とのセックスよりポルノの方が好きという、サービス業に従事する男性。
そんな彼が、スカーレット・ヨハンソン演じる理想の美女・バーバラと出会います。
裕福な家でプリンセスのように育てられたバーバラは、自分で部屋を掃除する必要もなく、立派な仕事についています。
ロマンティック・コメディ映画が大好きで、ピンクとハートだらけのロマンティックな部屋で育ってきました。
ジョンはそんな“理想の恋愛”を求める理想の美女に合わせ、つまらない恋愛映画に付き合い、学位を取るために夜学に通います。
でも、そんな理想の美女・バーバラと付き合いながらも、理想のセックスはポルノの中にしかないと信じる彼は、ポルノを隠れて見続けるのです。
理想の恋愛物語を実演しようとするバーバラ、理想のセックスを架空の世界に追求しようとするジョン。
男と女、それぞれのワガママが、やがて大きなすれ違いを生むようになります。
そして、ジョンは夜学で出会った奇妙な年上女性、ジュリアン・ムーアに気を許すようになるのです。
ジョンは、終末ごとに実家に帰って家族とともに教会に行き、家族とともに食事をします。
食卓を囲む父親のジョン・シニア(ジョンと同じ名前なのも意味ありげ)と母親のアンジェラ、お互いに文句を言い合いながらも認め合っている姿は、美しくもかっこよくもないけれど、まさにそれが“愛”で繋がった関係ということなのかもしれません。
そして、そんな両親を日々見つつ、黙って携帯に夢中な妹・モニカは、一番重要なことだけをボソリとつぶやく、と。。。
自分の理想を押し付け合おうとする“恋愛”と、相手のすべてをまるごと受入れようとする“愛”。
本作『ドン・ジョン』を観ていると、その違いが明確に描かれています。
そりゃあね、「相手が自分の思う通りじゃないと許せない」というのは、“相手”じゃなくて“自分の理想”と恋愛ごっこをしているだけですもんね。
などと、恋愛に関していろいろ考えさせてくれるこの映画『ドン・ジョン』、男女でデートなどに観てもなかなか楽しめる一作だと思います。
そうそう、劇中に流れるホントにつまんなそうな恋愛映画、つまんなそうなのに豪華キャストで、逆に観てみたくなりますよ。DVDに特典映像で入ったりしないかな。。。
作品情報
『ドン・ジョン』(90分/アメリカ/2013年)
原題:Don Jon
公開:2014年3月15日
配給:KADOKAWA
劇場:角川シネマ有楽町、シネマライズほか全国にて
監督・脚本・出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット
出演:スカーレット・ヨハンソン/ジュリアン・ムーア/トニー・ダンザ/ロブ・ブラウン/ジェレミー・ルーク/グレン・ヘドリー/ブリー・ラーソン/アン・ハサウェイ/チャニング・テイタム
公式HP:http://donjon-movie.jp/
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