【映画レビュー】素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー~ / ROBOT & FRANK
そのタイトルの印象からか(『カールじいさんの空飛ぶ家』の印象が強過ぎたのかも?)、なぜかてっきりCGアニメ作品だと信じ込んで観に行った映画『素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー~』。
いきなりアシモ型ロボットとおじいちゃんが出て来て、かなりびっくりしてしまいました。
しかし、最初こそめんくらったのですが、観ているうちにじわじわと心を動かされ、最後はじんわりと感動。
頑固じいさん役のフランク・ランジェラの演技が、またよいのですよ。
観終わった後には、誰もがみんなアシモが欲しくなるような、そんなひろいものの一作です。
STORY
そう遠くない未来。70歳となった元宝石泥棒のフランクは、だんだんと物忘れがひどくなっていた。離れて暮らす息子のハンターは、フランクを心配して介護ロボットをプレゼント。最初のうちはロボットを拒否していたフランクだったが、介護を受けるうちに健康になってきた。やがてロボットの能力を知ったフランクは泥棒の虫がうずき出し、彼を相棒とした犯罪計画を練り始める。まず二人は仲の良い司書のいる図書館の稀覯本に狙いを定め…。
解説
痴呆症を発症した独居老人が、介護ロボットの助けを得て心と体の健康を取り戻して行く姿を描いたこの作品。
物忘れが激しかった彼が、ロボットの世話を受けるうち、体も健康になり、頭もクリアになってきます。
そして、かつて元泥棒として名を馳せていた彼は、ロボットと二人三脚で再び泥棒をしようと発奮。
ある人物に狙いを定め、綿密に犯罪計画を練り始めます。
さすが名泥棒、見事に泥棒は成功するのですが、警察から嫌疑をかけられてしまいます。
普通であれば、物語の中のロボットというものは「犯罪には手を染めない」というようなプログラムが設定されていることが多いように思いますが、この作品では違います。
このロボットにとっての第一命題は「オーナーを健康にすること」。
だから、ロボットが犯罪を手伝うことでフランクが健康になるのであれば、犯罪だろうがなんだろうが、手を貸しちゃうわけです。
フランクは、自分のアイデンティティともいえる“宝石泥棒”をロボットに後押しされることにより、心の健康まで取り戻して行くのです。
この物語、いわゆる“ロボットとおじいさんの友情物語”のように見えますが、それだけではありません。
物語の終盤で、ロボットの“メモリ”というものが大きなポイントになってきます。
“メモリ”を消すことで、そのロボットは今までのロボットとは違うものになってしまうのか?
それとも、プログラム自体が変わらないのだから、メモリを消してもロボット自体は変わらないのか?
ロボットの“メモリ”を消すことと、痴呆症となり記憶が薄れて来ているフランクの“メモリ”が消えることは同じようなものなのか?
劇中で明かされる驚きの秘密により自分の“メモリ”が当てにならないということを思い知らされたフランクがどのような行動を取るのか…、それは、ぜひスクリーンで確かめて欲しいと思います。
本作が長編映画初監督となるジェイク・シュライアー監督は、ロボットと老人をモチーフに、決して整合性のとれない、人間の精神や記憶の不思議さを、少しコミカルに、少しハートフルに、見事に描き出してくれました。
作品情報
『素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー~』(89分/アメリカ/2012年)
原題:ROBOT & FRANK
公開:2013年8月10日
配給:角川映画
劇場:角川シネマ有楽町ほか全国にて
監督:ジェイク・シュライアー
出演:フランク・ランジェラ/スーザン・サランドン/ジェームズ・マースデン/リヴ・タイラー/ジェレミー・シスト/ジェレミー・ストロング
声の出演:ピーター・サースガード
公式HP:http://sutekinaaibou.com/
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