【本】燃えるスカートの少女 / エイミー・ベンダー

燃えるスカートの少女

アメリカの女性小説家・エイミー・ベンダーが1998年に書いた小説「燃えるスカートの少女」(訳:管啓次郎)を読みました。

本書は、約11編の作品からなる短編集。
手が火でできている少女と手が氷でできている少女の物語や、恋人がサンショウウオや魚にどんどん退化していってしまった女性の物語、夫が戦争で“唇”を失い、普通の“キス”を求めて近所の食料品店のアルバイト学生とキスしてしまう女性の物語など、現実を受け止められず性的放埒に走ってしまったり、体が異形になってしまったりする人間たちの姿を、たんたんと描いて行きます。

<感想>

燃えるスカートの少女 (角川文庫)

なんというか…、なんだか新しいような懐かしいような、不思議な読後感。
自分が繊細だと思っている女性が読むと、「わかる!」と納得できるのではないでしょうか。
感覚としては、90年代の吉本ばなな小説の読後感に近い感じでしょうかね…。

この作品から強く感じるのは、「自分を理解して欲しい」と強く願う“エゴイズム”と、人を拒絶してしまう“人間の弱さ”。
人から理解して欲しいのに自分をさらけ出せない、人を求めつつも拒絶してしまうというのは、日本でもアメリカでも、現代人が抱える宿痾なのかもしれませんね。

本書は1998年に書かれたということで、その頃に読んでいれば新しさを感じたのかもしれませんが、今読むとありふれたちょっと不条理な物語に読めてしまいます。

ただちょっと驚くのが、多分原作ではFワードで書かれているであろう言葉が、あまりにも直裁に訳されていること。
いやいや、そんな言葉遣い、する人いるの? 普通に「セックス」って書けばいいのでは? と、びっくりしてしまいました。。。

燃えるスカートの少女
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